【一部、暴力的・グロテスクな描写があります】

 イリアは、杏珠の腰をつかみ、うつぶせにしたまま引き寄せる。
 突然、腰を持ち上げられて杏珠は悲鳴を上げた。
「いやっ、やっ、また、こんな恰好……!」
「何を今さら、漏らして泣くのは幼いころと変わらんな。いや、今のほうが派手に濡らしているぞ」
 上半身をリネンに押しつけたまま腰だけを高く持ち上げると熟れた果実のような性器が見える。切なげに擦り合わせる内腿に果汁が滴るようだ。
 顔をつっぷしたままくぐもった声で杏珠が泣き声をあげる。
「ちが……っ、あ、……あたしは……違、う……のに」
「ああ、そうだな。確かに子供ではない。これはまるで発情期の牝犬のようだ」
 なじられて、杏珠がすすり泣きをする。
 顔を赤くしているのが隠していても判った。薄紅色に染まった身体が、耳や首筋のあたりを中心にしていっそう紅潮する。
 上半身はつっぷしているせいで、乳房はリネンの上に押しつけられてたわんだ。
 粘つく膿が白い胸にまつわり、悪臭を放つ。
 腕を伸ばして、乳房をすくいあげてやると、まさしく仔犬のような鳴き声をあげた。
「これぐらいのことで、そんな声がでるのだな」
 嗤われたのが悔しかったのか、杏珠はくっと唇をかみしめた。背中が震えている。
 必死で耐えている姿がいじらしく、硬く勃ちあがった乳首を指先で挟んで捩じってやった。
 血と膿の混じった粘液を、塗りこめるように二つのふくらみを揉みしだく。
「あうぅ……ん」
 たわいなく杏珠は、喉をのけぞらせて声をあげた。
 それでも涙だけは見せまいとして、リネンに顔を埋めて隠す。
「こんなに硬くして……いやらしい子だ」
「ち、違う……!」
 息を乱しながら、必死で否定するものの胸への刺激だけで、身をよじらせている。
 散々手荒く扱われた後だけに、そんな愛撫にさえ杏珠は敏感に反応した。
 四つ這いにしたまま足をむりやりに開かせると、狂ったように暴れる。
 後ろにいる男の前で、すべてを晒してしまうのが辛いらしい。
「やぁ、あ……っ……ああっ!!」
 今度こそ、杏珠は耐え切れずに泣きだした。
 駄々をこねる子供のようにつかまれたままの足をばたつかせ、逃れようと両腕で這おうとする。
 暴れる杏珠を手荒く打擲した。さほど力は入れなかったものの高い音が鳴る。
 大腿の内側の柔らかな部分を打たれたショックか、恐怖のためか身体をこわばらせた。
 ぴたりと泣きやんだ姿を見て、ふと、まだ産まれて間もないころの杏珠を思い出す。

 かつて、この子は砕けてしまったのだ。兄に捨てられて。





 抵抗することさえ、忘れたように呆けた杏珠の尻を両手でつかむ。
 日に当たることないそこは真っ白だったが、一度打たれたせいでうっすらと染まっている。
 怯えて震えているだけなのに、男を誘っているかのように扇情的に見えた。
 尻たぶをつかみ押し開く。
「ひっ……あっ、あ……」
 杏珠の身体が跳ね上がる。
 髪と同じ色をした繊毛はと濡れそぼり、先ほどまで貫かれていた濃い紅色の肉襞がほどけ肉芽は膨らんでいた。
 指を添えると充血した秘唇がくちゅっと音をたてた。強引な交接のせいで裂傷を負い、赤く爛れている。
 柔肉の奥は生き物のようにひくつく。そこから溢れた愛液が、蕾に似たセピア色の窄まりまでも濡らす。
 ゆっくりと傷をつけた部分を撫でながら、浅く指先を出し入れする。
 膨らみを帯びた淫唇が、その奥の襞が蠢き新たな蜜が溢れた。
「ふっ、う……う……」
 杏珠は、声を詰まらせながら、また泣き出した。
 無理やりに陶酔の淵に沈め、官能の悦びを教えこんだ。児戯しか知らぬならば、この程度でも簡単に惑溺する。
 本来ならば人は真実の愛に出逢って、その精神と性の悦びを結実させる。その機会を杏珠は、すでに見失っていた。
 この子が俺を愛しているというのなら、それはただの錯覚にすぎない。



「く、うぁぁっ……あぁっ」
 その声を聴きながら、イリアは別の指で秘裂をかき分けるようにしてまさぐる。すでに包皮からむき出しになった肉芽を捕えた。
 爪をたてて押しつぶしてやると、強過ぎる刺激に杏珠は、背をのけぞらせて悲鳴を上げる。
「はぅ、あふぅっ…!」
 愛しい。憎らしい……わが子。
 どれほどの苦痛にも、この子の存在ゆえに耐えられた。
 生きている輝きの証のようなこの子がいるからこそ。
 その姿を見ることが、俺の至福であった。
 この子の声を聴くは、俺の祝祭の日。
 美しくて酷薄な……俺の神。

 だが、この子に俺という存在は厭わしいものだ。
 さながら、冥府の長虫のように。
 己が何をされているのかさえこの子は、理解していないのではないだろうか。
 まだ、稚い……小さな子。
 この子への俺の想いは、気ちがいじみた執念だったろう。



 俺は、お前が欲しかった。
 どれほど、お前に餓えていたか……。



 独特の甘い女の香りに、俺はおかしくなっていたのかもしれない。いや。とうに狂っているのだろう。
 たまらず、その部分に顔を埋めた。
 舌を伸ばし、わざと音をたてて溢れる蜜をすする。
 濃厚な女の味が口の中に広がった。逃げようとする腰を押さえつける。
 舌先で小さな芽を転がすと、ぴくぴくと蠢動するように膨れあがった。
 肉芽を吸いあげ、軽く歯を立てる。
「……ぁぁんっ……いやぁっ……ああっ」
 黒髪を乱して泣く杏珠の表情は、幼いころと似ているようで、まったく別の女の顔だった。
 涙と快楽と羞恥。それらの感情の入り混じった眸の色。
 そうやって前を責めながらイリアは、さらに後方へも手をのばす。

「ひっ、んあっ!!!」
 すぐには何が起こったのか、判らなかったのだろう。
 杏珠は、とっさにリネンから顔をあげる。両足が不自然に突っ張るがイリアは責める手を緩めない。
 本来は性交に使われることのない場所を指でこじ開ける。
「い、や……いや。……そんなとこ……許して……」
「許せだと?」
 わずかに入り込んだ指先は、小さな孔を貫く。ぬぷっと空気を含んだ音が響く。
「はぁぅ……んっ!!」
 異物の入ってくる感触に杏珠は、声を上げた。
「濡らす必要もなかったな。俺の指を飲み込んでいるぞ」
 少しずつ指先を刺し入れながら、同時に前の花弁をかき回してやる。
 のけぞった姿勢のまま杏珠は、イリアの言葉に子供のように泣きじゃくった。
 熱い汁が滴り、大腿から膝へ垂れる。
「あっ……あぁぁぅ……あうっ、ああああっ!」
 前と後ろを同時に責められながら、杏珠は箍がはずれたように嬌声をあげた。
「堪え性のない子だ。もういくのか」
 耳もとで囁くとそれだけで、指を締め上げてくる。
 さらに指を襞の奥へ突き進め激しく突き上げた。
「だ……めっ……あぁあぁぁっ……やっ……ひぁあぁっ……っ!」
 剥きだしにされた肉芽に爪を食い込ませる。細やかな律動で擦りあげながら、尻のすぼまりを責めたてると杏珠は切羽詰った声をあげた。直後、ひときわ大きく身体をのけぞらせ、全身をがくがくと痙攣させる。
 立ち込める汗と血、腐った膿の臭いが混じりあい、しだいに空気は濃く煮詰められていく。




 イリアは、右手の白い手袋を手首のほうから捲った。
 聖職者の手袋は、教義によりミサを祝う時にのみ着用を許されている。
 自らの膿汁と、杏珠の涙と汗、それに愛液を吸ったぐっしょりと濡れた手袋を引きむしるように外す。
 露わになった右手は、ほとんど白い骨が見えていた。
 焼け爛れ、黒く焦げた肉がわずかに絡みついているが、それよりも金色の蔓のような、クラゲの細い触手のようなものが、わずかに肉の残った手の甲から骨だけの指先を包み込んでいる。
 イリアが手を伸ばすと、触手はしゅるしゅると音を立てて伸び、力なく横たわる杏珠の四肢を捕える。
 すでに何度も強制的に絶頂に押し上げられ杏珠は、息も絶え絶えになっていた。意識すら朦朧としているようだ。それでも突然、手足を縛る奇妙なモノの感触に驚いて、目を見開く。
「な、何……?」
 恐慌をきたして杏珠は、夢中でもがいた。触手は糸のように細いがこの子の足の骨ぐらい簡単に砕いてしまう。
「や……やだ。……とって、とって、やぁ、イリア!!」
「何を今さら、先ほどまでお前の中に入って、お前をあれほど悦ばせていたものだというのに」
「やだ。やだぁぁああ!」
 初めて見る異形に杏珠は、怯えて泣き叫んだ。
 だが、今さらイリアは、それを隠す気はなかった。

 辱められ、無理強いされる痛みと恐怖感は、杏珠の中から矜持さえも奪い獲ってしまうかもしれない。
 もはや、それも構わないとイリアは思った。
 焼け爛れた醜い顔。人ならぬこの身。
 思い出さずともよい。
 この子の愛を得ることは、二度とは叶わぬことなのだ。

In spiritu et veritate.


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